TAROの塔 最終回「芸術は爆発だ!」
BSで先行視聴しました。
自分の解釈を交えつつ、とっ散らかった感想を書きます。
ネタバレもあるので、ご注意くださいませ。
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70年安保闘争の真っ只中、タロウが感じていたのは、芸術には世の中を変える力はないのではないか、という無力感、「芸術の疎外感」。
万博のチーフプロデューサー就任を依頼されたタロウは、「体制に組するもの」として叩かれるからやめたほうがいい、と小松左京から止められますが、そのことが逆に引き受けるきっかけになったようです。
後押しをしたのは、敏子。
税金の無駄遣いだ、となどとバッシングを受ける中で、タロウが忙しく駈けずりまわる間、何もすることがなく時間をもてあます敏子は、自分の存在意義について考え込みます。女性としても、この生き方で良かったのか。自分は何も残していないのではないか。
再会した旧友にも、鋭さがなくなった、とタロウを批判され、ますます揺れます。タロウを否定されることは自分を否定されることでもある。自分の「作品」だと思っているタロウが。
旧友の言葉は、一般人代表なんでしょうね。
自分の作品を、生き方を貫くには、そんな意見は「糞喰らえ」と思わないと、やっていけないのだろうなぁ。「人の評価に自分を委ねてはダメ。」なんだ。
揺れる敏子に対して。
タロウは。
太陽の塔の模型の背面に黒い太陽を描き入れる。「太陽にだって影もある。影だって燃えているんだ!」(公式サイトより)
影とは、敏子のこと。影だって燃えている。
光と影。片方だけなんてありえない。二人でタロウの世界を作る、と敏子は腹を括ったようです。
「岡本太郎」しかできないことがある。
自分が撒いた種が花開き、もっと多くの、多種多様な才能が育つことを願うタロウ。
その思いとさらに同化していく敏子。アクションもタロウに似てきたました。
もっとタロウを、タロウの世界を人々に知らしめるために、敏子プロデュースで、タロウは様々なメディアに登場します。
「芸術は呪術。」
日本語の苦手なタロウに代わって評論を書く敏子は、まさしく、タロウのシャーマンとなりました。
有名な「芸術は爆発だ」が誕生した後、鏡を持って来い、といってポーズをとり続けるタロウ。
「おい、はやく持ってこい」(爆)
病に倒れる晩年に至るまで。
タロウをさらし者にしている、という批判も多かったのでしょうね。
自分も、「変な人」という認識しかなかったですから。
しかし。
敏子は、人から叩かれることに芸術家としての存在意義を見出しているタロウの「自分は生贄」と言い切る決意を具現化しただけ・・・というか、そういう「岡本太郎」であって欲しかった、とも言えるかもしれない。
絵筆が握れなくなるほど病が進行していく中、「岡本太郎」でなくなることに恐怖を抱くタロウは、「岡本太郎」でなくなった時は、私が殺してあげます、という敏子の言葉に安心します。
さらに悪化して意識も混濁してしまう中、敏子は倉田から、太陽の塔の模型の背面の黒い太陽はかの子を現しているでしょう?と言う問いを、タロウが否定しなかったことを聞かされます。
複雑な表情の敏子。ここは何とも言えない余韻が残りました。
目覚めないタロウの首を絞める敏子。
瞬間、タロウが目覚め、あのジェスチャーをしてみせます。
もう、いい。もう、休んでいい。
太郎の死後、太陽の塔を目にし、かつて自分が書いたタロウの言葉を、次第に高らかに、唱える敏子。
インタビューに答える敏子。岡本太郎の中にある神聖な火は消えない。
素敵な男の子だった、という言葉が印象に残りました。
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登場人物は少ないのに、非常に複雑なドラマでした。
難解な作品、という意味ではありません。
岡本太郎、という複雑な人生をわかりやすく整理したストーリーで、印象的なセリフが多く、優れて映像的な作品でした。音楽も素晴らしかったです。
衆に媚びず、かといって自己満足にも陥らず、伝えたいことを表現した作品。
複雑だと感じたのは、普通ではないタロウとその周囲の人々との、心理的な葛藤の奥深さを描いたからだと思います。
最終回の常盤さんは、かの子の寺島さんと一対をなす、迫力がありました。
お二人とも、タロウにとっては母であり、シャーマンだったのでしょう、と書くのは簡単だけれども、それほど単純なものでもないような気がします。
敏子の生き方についても、芸術に、タロウに身を捧げた、というような単純な解釈はできないだろう、と。
書き残した感想がいっぱいあるようであり、書きすぎたようでもあり。
年を取るにつれ、松尾さん演じるタロウが、若き日のタロウ、濱田さんに似てきたように感じました。色々と深いです・・・。
ご本人がシャンソンを唄うシーンは、見た覚えがあります。
病に冒されていたとは、存じませんでした。
エンドロールに流れる美輪明宏さんの「水に流して」。
心に残りました。
あまりシャンソンには興味がなかったのですが、その魅力の一端に、ほんの少しだけ触れさせてもらったような気がします。
NHKの底力を見せてくれた作品でした。
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