カテゴリー「@DVD・映画・観劇 ら、わ行」の5件の記事

2011年8月20日 (土)

「罠にかかったパパとママ」「ポリアンナ」

BSで放映された映画の感想を忘れないようにネタばれなしでメモっておきます。

「罠にかかったパパとママ」

1962年 米 129分 原題「THE PARENT TRAP!」

原作:エーリッヒ・ケストナー「ふたりのロッテ」
監督:デイヴィッド・スウィフト/脚色:デイヴィッド・スウィフト/音楽:ポール・スミス/製作:ウォルト・ディズニー
出演者:ヘイリー・ミルズ、モーリーン・オハラ、ブライアン・キース、レオ・G・キャロル、ウナ・マーケル

主人公の少女が、自分と瓜二つの少女と出会う。親友となった二人はお互いの事を話すうち、自分たちが、離婚して父と母に引きとられた双子であると分かる。二人は、なんとか両親のヨリを戻そうとするが……。エーリッヒ・ケストナーのユーモア小説『双児のロッテ』に材を採ったホームコメディ。(allcinemaより)

うう、懐かしのヘイリー・ミルズです。
後述の「ポリナンナ」の大ヒットを受けて、同じスタッフで製作されたようです。
幼い時に見たことがあるような、ないような・・・

1949年に発表された原作の「ふたりのロッテ」は、はるか昔に読んだっきりで、ほとんど覚えていません。舞台化及びアニメ化作品は未見です。

映画の双子は名子役のヘイリー・ミルズの一人二役。
当時の最先端の技術や大変な労力を使って製作されたのが、よっくわかります。
でも、双子たちが話し合ったり、一家全員が揃ったシーンには、「ああ、代役。」なんて思ってしまうすれた大人になっちまいました。

最初から最後まで子供目線で作って欲しかったのですが、双子が言い合うシーンを撮るのに時間がかかるためか、後半はパパとママのラブコメ・シーンが多かったです。

夫婦が別れた理由がはっきり描かれていないのは、観客層である子供たちに配慮したためでしょうか。
そのわりに、うんと年下の恋人に夢中になっていたパパの気持ちがママに戻るポイントが、フィジカルなことだけのように見えたのも、なんだかなぁ。
ママもカルフォルニアに来てからは、ハリウッドお得意の「気が強くて可愛い女性」に変貌しちゃったし。
この夫婦、子供たちの気持ちなどおかまいなしなのね(^^;;
ああ、でもそういうのって、アメリカの子供たちには、至極当然なことなのかな。

子供たちのいたずらも、やりすぎていて、あまり笑えませんでした。

元夫婦の感情の流れが、コメディ仕立てを意識するあまり、行き当たりばったりに見えたのが、残念。
前半はともかく・・・後半だけ見ていると、双子が登場しなくても作れた映画じゃないかな、と思ってしまいました。(撃沈)

嬉しかったのは、牧師役で、ヒッチコック映画の名脇役であり、「0011ナポレオン・ソロ」シリーズの課長ことレオ・G・キャロルが飄々と出演していたことです。

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「ポリアンナ」

1960年 米 134分 原題「Pollyanna」

原作:エレナー・H・ポーター「少女ポリアンナ」
監督:デイヴィッド・スウィフト/脚色:デイヴィッド・スウィフト/音楽:ポール・スミス/製作:ウォルト・ディズニー
出演者:ヘイリー・ミルズ、ジェーン・ワイマン、リチャード・イーガン、カール・マルデン、ナンシー・オルセン、アドルフ・マンジュー、ドナルド・クリスプ、アグネス・ムーアヘッド

両親に死なれ孤児になったポリアンナ(ヘイリー・ミルズ)は、ポリー・ハリント叔母さん(ジェーン・ワイマン)に引き取られた。そして叔母さんから最初に言われたことは、ハリントン家は町の名もハリントン通り、町の人たちがすべてハリントン家を手本にするから礼儀正しく振舞わねばいけない、ということだった。(goo映画より)

これも原作ははるか昔に読みました。続編である「パレアナの青春」も読んだ記憶がありますが、再読していないので内容はほとんど覚えていません。

 

映画はところどころ覚えていました。
特にプリズムで、部屋の中に虹を作るシーンははっきりと。
それからポリアンナが木から落ちるシーンも。

ポリアンナの服を可愛い、と思ったことも思い出しました。
水色をアクセントにした白いセーラー服には憧れました。
で、そんな綺麗な服を着ているのに、外で走り回って汚してしまうのに、ハラハラしたことも。
時代は1910年前後ですが、ポリアンナのファッションは今でも通用するんじゃないでしょうか。やっぱり素敵、と思いました。

物語の方は・・・この映画だけ見ていると、ポリアンナと叔母ポリーの関係がよくわかりません。

恐らくポリーは姉妹(妹か姉かも、字幕を見る限りでは定かではありませんでした)であるポリアンアの母と、貧しい牧師だったポリーの父との結婚に大反対した結果、絶縁状態になっていたのでしょう。
ポリー叔母はポリアンナの母を溺愛していたのではないでしょうか。
だから裏切られたショックも大きかった、というパターンかと。

でも、そんな大人の関係は、薄っすらわかればOK。
「赤毛のアン」シリーズよりも低年齢層をターゲットにしてるので、単純ではありますが、貧しい育ちでありながら、明るく自由な魂の持ち主のポリアンナが、町の人々を解放していく様が楽しかったです。
ラスト、町中の人々が・・・というシーンはちょっと大袈裟に感じましたけれども(汗)。

再見して気がついたことは。

オープニングのタイトルバックのシーンが躍動感に溢れていること。
さすがディズニー、動物の使い方がうまいです。
つかみはOK、これから始まる物語の世界にぐぐっと入っていけました。

そして名だたる名優が出演していること。

ポリー役のジェーン・ワイマン、気難しい老人役のアドルフ・マンジュー、牧師役のカール・マルデン・・・。
そして気難しい老婦人が「奥様は魔女」のサマンサの母上を演じてられたアグネス・ムーアヘッドだったとは。

カール・マルデンが演じる牧師の最初のお説教のシーンが異常に長いのですが、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」にも見られる、アメリカにおけるキリスト教の狂信的とも言える一面が漂っていて、興味深かったです。

彼ら名優たちとヒロイン、ヘイリー・ミルズの生き生きとした魅力、そして強弱のついた脚本と、これぞ職人という熟練した演出によって、子供映画としては長尺なのですが、すっかり大人になった今でも、面白く見れました。

ヘイリー・ミルズは今もロンドン中心に活躍されているそうです。(2011年8月現在)

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2010年6月26日 (土)

ザ・フォール/落下の王国

Photo

2006年 インド・米・英

『ザ・セル』のターセム監督が4年の歳月を費やして完成させた圧倒的映像美のファンタジー。大怪我を負い、自暴自棄になったスタントマン・ロイと少女・アレクサンドリアが病院で出会い、空想の冒険物語に身を投じていく。 (amazonより)

監督・脚本・製作:ターセム・シン/音楽:クリシュナ・レヴィ
出演:リー・ペイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデル

DVDにて視聴。
とにかく映像が綺麗だ、という噂を聞いたので、観たかったのですが、単館で2週間ほどの封切りだったのため、時間が合わず断念した作品です。
やはり無理をしてでも映画館で観れば良かったなぁ。

ターセム監督については何も知りません。主演のリー・ペイスはロバート・デ・ニーロ監督の「グッド・シェパード」(2006) に出演していたそうなのですが、覚えていない(汗)。本作でしっかり覚えました。

えーと、感じたままをそのまま書こうとすると、泥沼に陥りそうな作品ですので、短くネタバレなしで。

全容が知りたい人には、amazonのカスタマーレビューで「じじ」さんの書かれた「映像美だけではない-意外に骨太の秀作」(2009/5/7) が簡潔でわかりやすいと思います。←丸投げしちゃってすみません。(汗)
非常に映像的な映画なので、言葉にするのが難しい。自分の力量ではちょっと無理なので。

噂どおり、ひとつひとつのシーンがシュルレアリスムの絵画のように美しかったです。
この映画を作る作業を想像すると、気が遠くなりそうです。
それからあの場所であの衣装は辛かったろうなぁ、とも。

冒険物語のパートは空想というか夢の世界なのでストーリーの帳尻が合わないのは当然として。
現実とリンクしている部分、主人公のスタントマン、ロイの自殺願望をどう感じるかで評価は分かれるかも知れません。

綺麗でシュールなシーンが続きすぎて、正直言って途中で少しだれた部分もあったのですが、ラスト近くのカタストロフで盛り返したように感じました。

ロイの絶望感は何処からきたものなのか。一応具体的な理由は明かされていますが、本当はもっと深いところから湧いてきているような気がしました。
それは観た人それぞれの共鳴する部分で解釈は変わるだろうし、無理にわかろうとしなくてもいいとも思いました。
共鳴しない人にとっては少々退屈な作品かもしれません。
それでも監督の映画に対する深い愛情、少女に向けられる暖かい眼差しは汲み取れると思います。

自分は面白い、というより、何回観ても厭きない作品だと感じました。

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2009年11月28日 (土)

私がクマにキレた理由

Photo 2007年・米

ステキな仕事についてエリートになる!はずだったアニーは、ひょんなことからマンハッタンの超ゴージャスなセレブの家で息子の世話をする“ナニ―”として働くことに。(amazonより)

原作:エマ・マクローリン/監督・脚本:シャリ・スプリンガー・バーマン/ロバート・プルチーニ/製作:リチャード・N・グラッドスタイン/ダニー・ウルフ

出演者:スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、ポール・ジアマッティ

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軽めの作品が観たくて借りました。ここのところあまりがっつりした作品を観る元気がないようです(汗)。以下ネタバレなしです。

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思った以上に面白かったです。

原作は「ティファニーで子育てを」。未読です。

ストーリーは原題「The Nanny Diaries(ナニーの日記)」、そのままです。それがどうしてこんな邦題になったのかは、見てのお楽しみ(^^)。ネームング担当者の自慢げな顔が見えそうな、あざとさはちょっと感じましたが(笑)、中々のタイトルです。「ナニーの日記」ではお客さんが入りませんものね。

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さてナニーとはベビーシッターのこと。
主人公の名前、アニーと引っ掛けてあります。

ナニーといえば、19世紀から20世紀初頭にかけての英国が本場なのですが、それを現代のNYのセレブに持ってきたら?というアイデアを原作があるとはいえ、うまく生かしています。
まぁ、「ナニー」が主人公なので古臭いといえば古臭いお話なのですけど、尖がりすぎないスタイリッシュな構成と映像で若い女性に受け入れられやすい作品に仕上げています。

主人公の独白で進行する、繊細なコメディを1時間半強という丁度いい長さで無駄なくまとめる。こういう手際の良さはさすがです。

「人に見てもらう、楽しんでもらう」という意識が高いんだろうなぁ。

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かつて上流階級においては、両親が育児に関わることは「下賎」なこととされ、学校(寄宿舎)へ行く年になるまでの育児一切がナニー(ナースとも言う)に任されていました。

逆に言うと、ナニーを雇うことがステータスだったようです。

親の事情や見得はともかく、子供たちにとって親代わりのナニーとの別れは、自分を甘やかしてくれる環境との別れでもあり、多かれ少なかれ心理的に影響を与えたとか。

「甘酸っぱく懐かしいナニー」という存在は英国のアッパークラス及びアッパーミドルクラス、米国ではWASPにとって特別な感慨をもたらすようです。

2つの大戦の後、上流階級が没落するのと同じくして消えてしまった、所謂召使としてのナニーは、今また職業として注目されているそうで、英国ではナニー養成学校の名門もあるそうです。

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<参照文献>

不機嫌なメアリー・ポピンズ―イギリス小説と映画から読む「階級」  著:新井潤美
召使いたちの大英帝国 著:小林章夫

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雑談はさておいて・・・

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スカーレット・ヨハンセンがちょっと内省的な、真面目に人生に向きあおうとする学校を卒業したばかりの主人公をとてものびのびと自然に演じています。
役が身の丈に合っているように思いました。

よく見ると、絶世の美女、というわけでもなく、グラマーではありますがスタイルがいいとも言いがたいのですが、表情が生き生きしていました。それがとてもチャーミング。
マダムX役のローラ・リニーの存在も大きいのですが、ヨハンセンの魅力がこの作品の魅力と言っても過言ではない、堂々たる主役っぷりでした。

「ブーリン家の姉妹」や「理想の女」よりよっぽど良かったように感じました。←美しく撮ってありますが。

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ミスターXが「幻影師アイゼンハイム」の警部だったとは・・・役者ですな~。
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メアリー・ポピンズやピーターパンへのオマージュが捧げられていて、少しにやりとさせられました(^^)。

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ほんわかしたい人にお薦めです。
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2009年6月 4日 (木)

ROOKIES -卒業-

2009年公開

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春になり野球部の面々は3年生に進学、川藤も教師に復帰し再び甲子園へ向けて歩み始めたニコガク野球部。メジャーを目指すと言い放つ横柄な赤星、平塚をヒーローとして崇める濱中という2人の新入生も加わった。しかし不良にからまれていた赤星をかばった際にキャプテンの御子柴が骨折してしまう。そんな中始まった夏の甲子園予選、ニコガク野球部の前に安仁屋の因縁の相手、笹崎高校のエース・川上が立ちはだかり……。(goo映画より)

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近年目の調子が悪く、大画面に耐える自信がなくなってきたため、映画館から遠のいていたのですが、この作品は見届けたい、という思いで、見に行きました。
ネタバレはないつもり。
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自分は原作は未読で、テレビドラマのみ視聴していました。

はっきりいうと、何も知らない人が見たら、この独特の世界には入りにくいのではないかな、と感じました。
独立した作品にはなっていないと思うので。

また、原作ファンでテレビを見ていない人にとっては、エピソードの取捨選択には納得できない部分があるだろうと思います。
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だがしかし。

どういう主旨で作られたかわからない、理解できない作品(映画、ドラマ含めて)が多い中、この映画からは「作ればお金になる」という大人の事情以上に、作り手たちの作品に対する情熱が伝わってきます。

また、実写による野球映画として、恐らく人々の記憶に残るだろうと思います。

試合の描写、各俳優の選手としての力量の見せ方など、贅沢を言えば切りがないのですが、野球をやっていた友人がドラマを見て言った言葉で自分的には納得してます。
「スライディングは実際やってみると怖い。でも、このドラマは皆思いっ切りやっているので、それだけで納得できる」

途中、何度か運動部系部室に漂う汗臭い匂いを嗅いだような錯覚に陥りました。
この映画、本当に匂います(爆)。

「ニコガクの連中」を見て、今更ですが改めて、バランスのとれたキャスティングだな、と感じました。

演技にストレスを感じない幸せ。
高校生にしかみえない、この不思議(讃)。

御子柴が戻ってきた時、皆がいっせいに教室を飛び出し、廊下を走っていくシーンが好きです。
こいつら、もう、教室、廊下、部室、運動場や階段下(爆)・・・学校でつるんでふざけあうことはないんだな~と。
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卒業、おめでとう。

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2009年3月29日 (日)

ルードウィヒ・神々の黄昏

1973年公開(ウィキペディア参照)
1980年完全版公開
※ヴィスコンティの当初の意図に限りなく近いとされる版
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1864年、18歳でバイエルン王に即位したルートヴィヒ。やがて年上の従姉、エリザベートに惹かれていく。また、この王は政治や軍事より芸術で、とくにワーグナーを援助した。そんな王の行動は、しだいに常軌を逸してくる…。
19世紀のドイツに実在したルートヴィヒ2世の一代記である。王でさえなければ芸術好きの変わり者として平凡な一生を送れたであろう、ルートヴィヒの悲劇を描く。(amazonより抜粋)
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数々の逸話がある、と一言では語れない、まさしく神話的作品です。

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この作品及び監督、ルキーノ・ヴィスコンティについての薀蓄は書けません。申し訳ありませんが別のサイトもしくはブログなどを検索して調べてくださいませ(爆)。

ヴィスコンティの作品は「若者のすべて」と「山猫」「地獄に落ちた勇者ども」を観ました。

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「若者のすべて」は南イタリアから北イタリアに移住した貧しい家族を描いた映画で、ヒリヒリした描写と主役を演じたアラン・ドロンからにじみでる孤独感が深く印象に残っています。
この人は、若い時ですが、役柄も含めてチンピラ的な二枚目なんだけど、男前っぷりが尋常じゃなかった。あまりに男前すぎるために孤独だったのではないか、と思ったりしたぐらいオコトマエでした。

このアラン・ドロンと婚約までしたのですが、結局結婚にはいたらなかったのが、本作品でエリザベート(シシィ)を演じているロミー・シュナイダーです。
ご本人がええとこのお嬢様です。
若き日のシシィを演じたこともあり、また、自身のあまり幸せとは見えない人生も含めて、今でも「エリザベート皇后を演じられるのは彼女しかいない」というオールド・ファンが多いそうです。
彼女が亡くなった時、アラン・ドロンが駆けつけたetc.なんていうエピソードもあったような。

あれ、話が逸れた(爆)。
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この「ルードウィヒ(完全版)」はずっと気になっていたのですが、長い(4時間弱)のと鑑賞するのにエネルギーが要りそうなのとで、二の足を踏んでいましたが、思い切って借りました。

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エリザベート皇后の伝記は読んだことがあるのですが、彼女の従弟である「狂王」ルートヴィヒ2世については逸話を目にしたことがあっても、本格的な伝記は未読です。
しかし、彼の年代順の肖像は見たことがあります。
ルートヴィヒ2世役のヘルムート・バーガーはその変化をほとんど忠実に再現しています。外貌だけでなく。
というか、実際のルートヴィヒ2世も映画に描かれたようであった、と思わせる説得力が並みではありません。
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ルートヴィヒ2世は今でいうと、あまり景気の良くない老舗の中小企業を世襲で次いだ毛並みのいい社長、なのに本業ほったらかしで趣味に没頭し、会社のお金も使い込んでしまった、究極のオタク、といったことろでしょう。
こんな社長を戴いた社員はたまったもんじゃありません。

当時、議会はあるといえども帝政だし、今よりもっと貧富の差が激しかった時代に、王族の果たす義務からひたすら逃げて趣味に浪費を重ねる。
しかも精神的に安定を欠ける人物なんて、普通なら共感を覚えられない、全く理解不能な人物です。

なのに、映画に描かれた彼の生き様に引き込まれてしまいました。

「王族に生まれた故の苦しみ、孤独感」を忠実に描いただけではこれほどのエネルギーを持った作品にはならなかったと思います。
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本作品で描かれているルートヴィヒ2世に抱いた感想を思いついたまま挙げていくと・・・

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他者との距離を保つためには手段を選ばない。
その他者の気持ちを思いやることはない。
学習する場がなかっただけなのか、それとも元々欠けているのか。
人の気持ちを慮ることはないが、評判を気にし、保身に長けた小心者。
暴力的ではないが、勇気もない。
真の芸術の理解者で自らも芸術家であると振舞っているが、実は才能がないことを自覚している屈折したコンプレックスを抱いたパトロン。
同性への嗜好が宗教的にタブーであるため懺悔の気持ちは抱くが、我慢はしない。
「負」の方向に向かう思考の持ち主。

王族として育てられた環境のための無神経さと我儘なのは際立ちますが、通説のような精神を病んだ人というより、懐が狭くて神経質で臆病な普通の人間のようにも見えます。

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こうしてみると、随分と冷酷かつ生々しく歴史上の人物を描いているようですが、こういった欠点だらけの王をエレガントかつ丹念に描くことで観客を置き去りにしないばかりか、数々の城を建てた「狂王」というイメージを損なっていません。

もちろんヴィスコンティですので、耽美な世界を再現することに溺れることなく、歴史の重みも描いています。

以下、素晴らしいと感じたことを挙げてみました。
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数多くあるエピソードの取捨選択のセンス。
音楽さえ流れない、全くの沈黙のシーンが多いこと。
感情の描写が直接的でないこと。
夜のシーンが多く、暗闇を表現するための照明が美しいこと。

ほとんど冬のシーンであること。生命力の欠如を感じさせます。
ロケに登場する遺跡が美しくも悲しげなこと。
緻密な計算と膨大な時間及びお金が掛かっている贅沢感が感じられるカットの数々。

そして配役。

本作品では脇役であるエリザベートの登場シーンは当然多くはありませんが、エリザベートのことを知らない人にも、そしてオーストリア皇后という立場がどんなものか分からなくでも、何となく彼女の特異な性格と存在感は理解できると思います。
馬を操る登場のシーン、そして従弟の作った城を訪ね歩くシーンは印象的でした。

しかし何といってもヘルムート・バーガーですね。
映像上におけるヴィスコンティの分身。

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この重厚な作品の分析には脚本からはじまり、カメラワーク、編集など、使われた技法がいかに素晴らしいか、というような専門的なことが重要なのでしょうが、それは自分にはわかりません。
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しかしどんな技法を駆使しても、ヴィスコンティという天才作家の血肉が通っていなければ、巨大な伽藍にしかならなかったでしょう。

ルートヴィヒ2世が城を作り続けたように映画を作り続けた作家。
王よりずっと才能と生きるエネルギーに恵まれた人。

この大作を自分の意思と感性で満たし、かつ溢れさせてしまった。
そのエネルギーに畏怖を抱かせる作品です。

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以上、長々と頑張ってみましたが、結局、この映画のどこに感銘を受けたのか、とっちらかってしまって、ポイントを絞れませんでした。

このような大作の感想を書くのは百年早い、と感じました。←この一文だけで事足りたかもしれない(苦笑)。

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