フェイク~京都美術事件絵巻 最終回
感想中心に書きます。
BSで見られる予定の方はネタばれしていますので、ご注意下さい。
今回の美術品は、喜多川歌麿の肉筆美人画でした。
ついに天才贋作師、Kの正体が暴かれました。
でも、あんなに思わせぶりなカメラワークで見せる必要はなかったように思います。
だって、「え、あの人が?!」という人じゃないから、見ている方は、「誰?この人」、てなもんですよ。(汗)
死体で発見された山科画伯の息子であることはわかっていても、所詮は「新参者」ですから。
右のスケッチをするシーンはあったけれども・・・もっと今までの事件にKの影を絡ませてくれれば、緻密なミステリに見えたかも。
もしくは山科画伯。時々店を訪れる品のいい初老の男性が、実は高名な元画家だった・・・や、実にベタですが(汗)、ミニシリーズだからこそできる仕掛けはあったように思います。
父親に捨てられ、女手ひとつで息子を育てた母。
その母を父が描くと知って、その絵の贋作を同時に作成したのが、贋作に手を染めるきっかけだった。
描いた贋作は市場に売り払い、父は、その贋作が息子のものだと知って、画家を引退。
そして10年たっても息子がまだ贋作を作り続けていることを諌めるために、自らの命を断った。
Kが贋作を製作したことが、父の画家としての生命だけでなく、本当の命も奪った、ということです。
Kが贋作師になった理由を、このシリーズの流れにそって人情がらみに描いていたのは、しっくりきました。
しかし、父親に死を賭して諌められても贋作をやめないK。後悔は多少ある?贋作作りを止めて欲しくて右につきまとっていた?←右の推測ですが。
彼には彼の哲学があるようです。
芸術品に本物も贋作もない。
贋作を生み出しているのは右たちだ。
本物だと思って手に入れた人たちは、それで幸福なのだ。
君たちはその幸福を奪っている。(概略)
ここがこのドラマのポイントなのでしょう。
人の心を豊かにするものであれば、本物も贋作もない。
そこには良い芸術品があるだけ。
本物と断定することで、お金が動き出す。
価値の高い作品を高い技術で贋作すれば、それも芸術品、ということなのでしょうか。
贋作だと知らない方が幸せ・・・一見正論のような気もしましたが。
でも、やはり贋作行為はオリジナルを作った人への冒涜行為だと思います。
構図、手法、視点、思想・・・先陣を切って作り上げた人々への。
(模写行為は修行の一つで贋作行為ではありません。)
今回も一番格好良かったのは右の母、曜子さんでした。
骨董品の世界に国家権力は役に立たない。←セリフをメモったのですが、なくしてしまった(汗)。
Kがデーモン風な容貌だったこと及びその思想の一端が彼の口から聞けたことと、曜子さんのおかげで、思っていたより「がっくし」とはならなかったので(汗)、まずまず、良かったです。
シリーズ全体の感想。
無理に殺人事件を絡ませなくてもよかったのではないかな、と思いました。
4話の感想でも書きましたが、殺人がない方が、より美術品を中心とした事件の数々の奥行きが生まれたのではないかな、と。
製作スタッフの「いつかこの『美』の古都を舞台に『美』に翻弄される人たちのドラマを作りたいと思っていた。」(@公式サイトより)などの意気込みを生かしきれなかった、もったいないドラマのように思います。
天才贋作師K、という伏線もあまり生かしてなかったように思う。これも、もったいなかったです。
全6話のうち、第2話が一番面白かったです。
Kはまだ贋作作成を続けるようです。
続編を作るつもりなのかな?
テーマは面白いし、まだまだネタはありそうですが。
だったら、無理があることを承知でこっそり言ってみます・・・
今度は、曜子さんが主役ではいけませんか?(大汗)
.
.
.
最近のコメント