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2017年6月27日 (火)

怪物はささやく:映画 

2016年 アメリカ・スペイン合作 109分 原題「A Monster Calls」

Photo

公式サイト

監督:J・A・バヨナ/脚本:パトリック・ネス/製作:ベレン・アティエンサ/撮影:オスカル・ファウラ/美術:エウヘニオ・カバレロ/編集:ベルナ・ビラプラーナ、ジャウマ・マルティ/音楽:フェルナンド・ベラスケス
出演:ルイス・マクドゥーガル、フェリシティ・ジョーンズ、シガニー・ウィーバー、トビー・ケベル、リーアム・ニーソン

イギリスの作家パトリック・ネスによる世界的ベストセラーを、「永遠のこどもたち」のJ・A・バヨナ監督が実写映画化。
孤独な少年と怪物による魂の駆け引きを幻想的な映像で描いたダークファンタジーで、スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞で9部門を受賞した。

裏窓から教会の墓地が見える家で難病の母と暮らしている少年コナー。ある晩、彼の前に怪物が現われ、これから3つの「真実の物語」を語ること、そして4つ目の物語をコナー自身が語るよう告げる。しかもその内容は、コナーが隠している「真実」でなければならないという。嫌がるコナーをよそに、怪物は夜ごと現われては物語を語りはじめる。

 「PAN ネバーランド、夢のはじまり」のルイス・マクドゥーガルがコナー役で主演を務め、母親役を「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のフェリシティ・ジョーンズ、祖母役を「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバーが演じる。リーアム・ニーソンが怪物の声を担当し、モーションキャプチャーにも挑戦。(映画.comより)
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@TOHOシマネマズ

原作未読です。
ネタばれがほんの少し混じっている簡単感想です。

ひたすら悲しい、悲しい、悲しい少年の心で溢れている作品。

「パンズ・ラビリンス」のプロデューサーが入れ込んだだけあって、ディズニー風の楽観主義は微塵もない、ひたすら暗い、正統派のダーク・ファンタジーです。

このジャンルの作品を見慣れている人なら、上記の粗筋を読んだだけで、怪物の正体がわかると思います。
わかっていても、暗くて寂しい画面から目が離せませんでした。

怪物の語る物語は絵本タッチ。ヨーロッパ系の映画ではよく使われる手法なので、あまり気にかけなかったのですが、ここにこそ意味があったんですね。

苛められっ子ではあるけれども、シングルマザーの母と二人きりで貧しいながらも自分の世界を築き上げてきた少年。
しかし彼の夢見がちな世界は母の入院によって崩壊していくのです。

縁を切っていたらしい祖母と母の葛藤。
少年を父に渡したくない祖母は、母が入院している間、自分の家に少年を引き取ります。

この母娘の葛藤の原因ははっきりとは描いていませんでしたが、母の家と祖母の家の違いでそれとなく察せられます。
恐らく母の結婚は祖母の意に染まぬだった。それ以前に母と娘は生き方、考え方が違ったのでしょう。

自分のルール、価値観を押しつけてくる厳格な祖母。
アメリカからやって来た父にはすでに新しい家庭があり、優しいし、愛情もあるけれども、少年を引き取るつもりは全くなく、少年が祖母と一緒に暮らすことを望んでいる。

大人たちの都合に翻弄される少年。
そしてエスカレートする苛め。
少年のフラストレーションは次第に高まっていく・・・

哀しくて寂しい少年の瞳を通して、子供を置いて逝かざるを得ない母の悲しみが静かに描かれていました。
そして最初は恐ろしげだった怪物が、ラスト近くでは少年の思念より離れて母の想いに寄り添います。
なぜなら、元々の創造主は母なのだから・・・何を思って幼き母は彼を創ったのだろう。

生き方は全く違うけれども、母を愛している、という一点だけは共通している、と語りかける祖母。
少年は初めて祖母の気持ちを見るのです。彼女もまた娘を想って苦しんでる姿を。

怪物の、慈悲深き瞳に涙。

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