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2014年4月26日 (土)

そこのみにて光輝く:映画

2013年 日本 120分 R15+

Photo

公式サイト

原作:佐藤泰志
監督:呉美保/脚本:高田亮/製作:永田守、菅原和博/プロデューサー:星野秀樹/撮影:近藤龍人/美術:井上心平/音楽:田中拓人
出演:綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、火野正平、伊佐山ひろ子、田村泰二郎

芥川賞候補に幾度も名を連ねながら受賞がかなわず、41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の唯一の長編小説を、綾野剛の主演で映画化。「オカンの嫁入り」の呉美保監督がメガホンをとり、愛を捨てた男と愛を諦めた女の出会いを描く。仕事を辞めブラブラと過ごしていた佐藤達夫は、粗暴だが人懐こい青年・大城拓児とパチンコ屋で知り合う。ついて来るよう案内された先には、取り残されたように存在する一軒のバラックで、寝たきりの父、その世話に追われる母、水商売で一家を支える千夏がいた。世間からさげすまれたその場所で、ひとり光輝く千夏に達夫はひかれていく。しかしそんな時、事件が起こり……。(映画.comより)

@京都シネマ

原作未読。ストーリーは書いていませんが、後半、ネタばれを含む感想を書いています。ご注意ください。

1970~80年代のATG映画やロマンポルノをほうふつさせる。(朝日新聞より)

こういう映画を面白い、と言うことが格好良いと思っていた時期に、頑張って観ていたジャンルです。
頑張らないと観れないんだ、ということに気がついてからは、映画自体を見る時間が取れなくなったためもあって、すっかり遠ざかっていました。
でも、こういういジャンルもまた日本映画の伝統だしなあ、ということで久しぶりに頑張って(汗)、観に行きました。

私小説っぽい感触と破滅の予感が懐かしかったです。
懐かしいだけでなく、今の底辺の人々・・・自らドロップアウトする若者たち、先行きのない介護と老後を描いていて、作家の世界が確立されていました。
作品の基幹をなすのは、セリフのない長回しのシーンです。
ここから何かを感じることができる人は、引き込まれるだろうと思います。

自分は中途半端に見てしまいました。
映像に引き込まれる時もあったし、ふと現実に戻って、後何分あるんだろう、と思ってしまったり(汗)
冗漫な作品というわけではありません。
時々、登場人物たちの心に寄り添うのに疲れてしまったのです。

疲れる、というのが、こういうジャンルを観なくなった理由だったことを思い出しもしました。

傷ついた旅人と母性を持ったヒロイン、そして無防備すぎる子供の話。

メインの三人に悪意がないのが救いもあり、悲劇を際立たせてもいました。
ハッピーエンドにはならないことははっきりしている。でも、せめて命だけは落とさないで欲しい、と願わずにはおれませんでした。
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ヒロイン、千夏を演じた池脇さんの、ぼにゃっとしたボディが素晴らしかったです。
貧困、介護、暴力、そして醜さと愛情。全てが、ヒロインの肉体を通じて描かれていました。

家を守り、男たちに虐げられる。
そういう環境を諦念して受け入れている、可哀想なヒロイン。

諦念。

例えばですが、少し前に見た、東欧移民の悲劇を描いた「エヴァの告白」のヒロインは、決して諦めない。
だからどんなに悲惨な境遇に陥っても、可哀想、とは思いませんでした。

諦念することで精神を守るのが、日本人なのかもしれません。

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ここからネタばれ含む感想です。ご注意ください。

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千夏が会社を一ヶ月でドロップアウトしたのは、本当に「そんな生活がつまらない」と思ったからなのか。
つまらない、と思わなければ、家を守れなかったのか。

何となく異質だったので妙に印象に残ったのが、母が、千夏が作っている料理に錠剤を入れるシーンです。

入れたのは、父親の”普通”の薬だと思っていました。
そして、薬代にも困っている描写。
その直後帰宅した拓児が、その料理をむしゃむしゃ食べ始める。
しかし、母と姉は止めるどころか、全く気にしない。

きっと日常的にあることなのだろう、こんなところまで雑な家族であることを表現しているのだ、と解釈したのでしたのですけれども。

ラスト近くになって、以前起こした暴力事件の記憶がない、という千夏の言葉と照らし合わせて、ひよっとしたらあの薬は父親のではなくて、拓児の薬だったのかも?と一瞬思いましたが、いや、やはり父親の薬、飲むと早く惚けるという方の薬だったのだろうか・・・だとしたら、この家族の悲劇のスパイラルの象徴。

説明セリフがほとんどなく、女たちが本当のことを言っているとは限らないので、色んな推測ができる作品だと思います。
対して、男たちはみな・・・本当のことを言っており、それが皮肉に感じました。

達夫が、拓児の逃亡先に自分のアパートを思い浮かべなかったことに、最初に気づけよと、思わず突っ込んでしまったのですが、そういう男だから拓児がなついたのでしょう。

傷は抱えているけれども、ちょっと格好が良くって、どこまでも優しい男。
もし男性の監督なら、もっと容赦なくダメ男に描いたような気がします。

泣きじゃくる拓児をおさな子のように抱きしめる達夫。
達夫と拓児の二人乗りのシーンが、可愛らしくて哀しかったです。
あんなに汚らしくても美しく観えるのは、若さゆえなのでしょう。

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もし10代もしくは20代の時に観たらトラウマになりそうな、思わず吐き気をもよおすシーンもあり、予想以上に観る人を選ぶ映画でした。

それでも、映画館からの帰り道、彼らのことを考えずにはおられませんでした。

何ごともなく山へ行ったなら、拓児は命を落としたかもしれない。
果たして達夫は千夏を救えたのか、千夏は達夫の差し伸べた手をとったのか・・・

「そこのみにて光輝く」。

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