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2013年4月20日 (土)

2013年3月の読書 その1

田山力哉さんの本を読み出すと止まらなくなってしまいました。
この感想文をどう乗り切るか・・・ふう。
引用を多めにします。

全部絶版ですが、古本としては割と安価で手に入れることができるようです。

.

※読書順、敬称略です。

○再読 

千恵蔵一代 著:田山 力哉 (現代教養文庫)
伴淳三郎 道化の涙 著:田山 力哉(現代教養文庫)
小説 浦山桐郎―夏草の道 著:田山 力哉(講談社文庫)

.

「千恵蔵一代」

若き日には水もしたたる美貌の若武者ぶりを見せ、円熟期にはぐっと渋い持ち味で当たり役も多く、桜吹雪の刺青で大見得を切る遠山金四郎、剣の道ひと筋の宮本武蔵、7つの顔を持つ男多羅尾伴内、「大菩薩峠」の虚無の剣客机竜之介と、映画黄金期を背負って立った花形スター千恵蔵の、人間的な内面にも迫り、私生活のかげりや苦悩を深く掘り下げた、評伝文学の傑作。  (「BOOK」データベースより)

片岡千恵蔵。
明治36年(1903年)3月30日― 昭和58年(1983年)3月31日、享年80才。

御大となった東映時代以降の姿しか見たことがありません。
それも勧善懲悪な定番のチャンバラ映画がほとんど。
TVでは「大岡越前」シリーズでの大岡越前の貫禄のある父親役が印象に残っているくらいです。
本作を読んで、若く煌めく時代を見れなかったことを残念に思ったものです。

生涯、真摯に芝居に取り組んだ、寡黙な大スター、片岡千恵蔵。
一見、著者の興味を引くような対象者ではなさそうなのですが、千恵蔵が抱えていた闇、凄まじい葛藤を見逃しませんでした。

著者は千恵蔵の最期を取材して、衝撃を受けます。
絶版なので、少し多めに引用します。

死の三週間ばかり前、知恵蔵は病室のベッドに正座し、手を合わせてお経を読んでいた。
<中略>
その凄絶な姿は、彼がその長い俳優生活を通じて繰り返し演じてきた宮本武蔵の生き写しのように見る者に映じた。死を眼前にし、悟りに達しないまま晩年を終えようとする武蔵の無念の形相が、今や彼にのり移っているかのようだった。私はその変わり果てた姿を想像として慄然とした。
果たして千恵蔵は何を苦悩し、どんな解脱を求めていたのであろうか。死を直前にして孤独の深淵に立ったようなその姿は、功成り名をとげた俳優片岡千恵蔵の華やかなスターとしてのキャリアとは、およそ似つかわしくないものであった。

<中略>

彼の脳裏には六十年に及ぶ三百二十二本のフィルムの残像が、走馬灯のように浮かび消えていった。
だがその裏面にある私的な生活を思う時、彼には悔恨しか残っていなかった。

<中略>

女たちの人生を台無しにしてしまった。今更贖罪でもない、と思った。すでに充分、神の報復を受けていた。一刻も心の安らぎなんかなかった

そして、見舞いに訪れた友人に呟いた言葉として。

「たまらないなあ、ほんとにたまらないなあ」

千恵蔵その人を知らなくても、充分に読み応えのある小説です。

.

「伴淳三郎 道化の涙」

1950年代、喜劇役者伴淳三郎は、一世を風靡した流行語「アジャパー」「いっぺえやっか」をたて続けにあみ出し、映画『二等兵物語』の大ヒット、“駅前”シリーズの連続ヒットで、スターの座にのぼりつめた。本書は、道化に徹して珍芸を演じ脚光を浴びたコメディアン“バンジュン”の実人生を調べあげ、再構成した実名小説であり、スクリーンの裏の悲しき人生を描く。  (「BOOK」データベースより)

伴淳三郎。
1908年1月10日 - 1981年10月26日、享年73才。

駅前シリーズやTV「時間ですよ」を見ていたので、片岡千恵蔵よりは身近な人です。
「飢餓海峡」(1965年)で三國連太郎演じる犬塚を追い詰める刑事役で、コメディアンから俳優として認知された・・・”格が上がった”と評されたことは書物などで知っていました。そして評判が良くないことも。

※昔は「笑い」に対する評価がはるかに低く、コメディアンという名称は差別的ですらあったようです。今でもコメディ映画は評価されにくいんですけれども。

何故評判が良くなかったのか、本作を読んで初めてわかりました。

恵まれなかった生い立ちと美しいとは言えない容貌のため、人をひがむことが多く、心を開かない。いったん開くと際限なく甘える。かと思うと、小さいことで絶縁してしまう。お金には細かいくせに大雑把で、約束を守らない。
コンプレックスの塊ではあるけれども、自分が持っている天賦の才には自信を持っていて、かつ努力の人でもあることも。


彼の不幸は全て自ら招いたことだけれども、そんな風にしか生きざるおえなかった業の深さが胸に染みる作品です。

文字通り血を吐く思いで書きあげた作品であった。伴淳さん、安らかに眠ってください。(あとがきより)

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「小説 浦山桐郎―夏草の道」

衝撃のデビュー作「キューポラのある街」をはじめ「私が棄てた女」「青春の門」などの傑作をのこした映画監督・浦山桐郎。23年間で9本しか撮らなかった全作品に、若くして世を去った母と父への追慕の念、ふるさと相生への熱き想いが籠められている。54歳で逝った鬼才の壮絶な生涯を描く、渾身の長篇小説。  (「BOOK」データベースより)

浦山桐郎。
1930年12月14日 - 1985年10月20日、享年54才。

作品以外、生き様などはほとんど知らない人です。
田山氏の作品ということで読みました。
1993年に出版、文庫化されたのが1996年。翌年、1997年に亡くなりました。
長編としては最後になった作品です。

他の作品と大きく違うのは、著者が対象者、浦山桐郎ととても親しかった、というところです。

「闇に堕ちた監督 - 小説・中平康」の中平康と同じく、アルコール中毒、滅茶苦茶としかいいようのない女性関係、経済観念のなさ・・・破滅的な人生を送った人ではあるのですが、浦山とは同じ景色を見ている分、密着度、共感度が濃いです。

田山力哉は浦山のだらしなさ、弱さこそを愛そうとする。この監督がなぜこんなにも生き急ぎ、死に向かってダイビングして行ったのか、その内面に迫ろうとする。本書の面白さはそこにある。(解説 川本三郎)

弱さこそを愛する。それこそが田山氏の評伝小説全てに貫かれているポリシーです。

とはいえ、批評家は”見る人”である。どんなに対象を愛し、共感しても、溺れてしまっては批評の放棄になる。どこかで対象に対して距離を持たなければならない。本書を書く上で田山力哉が一番留意したのはこのことだろう。その意味で「伝記小説」という形式は、田山力哉によく合ったと思う。小説の形で情を吐露し、それが過剰になる寸前で、伝記の形で事実を描き、情の熱気を冷却出来るのだから。(同上)

浦山は少年時代を兵庫県相生市で過ごしました。瀬戸内海が深く入り込んだ、かつては造船で栄えたまちです。
このまちで、夏の日に、父が自殺してしまうのです。何も遺さずに。

タイトル「夏草の道」には、浦山へのレクイエムとともに、少年時代の浦山を慰撫するかのような優しさが込められているように感じました。

「浦山が先に逝くなんて夢にも思いませんでした。全く・・・・たまらないですね。」
今村昌平は大人になって初めて人前で涙を流した。痛恨の涙であった。(本文より)

浦山の告別式で涙した今村昌平も、今はいない・・・。

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