2012年8月の読書
この8月は夏バテに加えて歯のトラブルに悩まされたり、だましゑシリーズを再読したりしていたため、あまり進みませんでした。
感想も簡単にしておきます。
き、気力が・・・
そうそう、「だましゑ歌麿」と「みをつくし料理帖」シリーズのSPドラマが放映されるとのこと。
「だましゑ歌麿」はもう今晩ですが(汗)、9月15日(土)テレ朝系、土ワイ枠。シリーズ化されたようで、一作目は残念ながら未見です。
公式を見ると、平蔵のスタンスやストーリーそのものも原作から離れたオリジナルのようで、それはそれで楽しみです。何よりメインの歌麿の水谷豊さん、仙波の中村橋之助さんがイメージにぴったり。この時代のスーパーサブ、蔦屋に一徳さん、というのも楽屋落ち的に楽しめそうです。
ドラマ初登場の染谷さんは蘭陽としては自分のイメージよりかなりごっついのですが、それゆえに染谷さんが作り上げる蘭陽が、歌舞伎の所作は大丈夫なのかな、という不安はありつつも、楽しみでもあります。
「みをつくし料理帖」は9月22日(土)、これもテレ朝、同じ枠です。テレ朝、頑張ってます。
ただ、こちらはヒロインが・・・
時代劇って着物のさばき方や振る舞いが気になるので「時代劇ドラマ初主演」というのがまず、凄く不安です。
キャラとしても下がり眉の澪がきりりとした面立ちの北川景子さんというのは違うんじゃないかぁ、と。あさひ太夫の貫地谷しほりさんとキャスティングが逆のような気がします。うーん・・・仕方がないのかぁ。
サブキャラはそこそこ安全ライン。←偉そうでごめんなさい。大好きなシリーズが故にそれなりにイメージが出来上がっているので・・・・
ともかく、絶対に見ます。
9月の土曜9時はNHKもあるし、とっても忙しいことになりそう。
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※読書順、敬称略です。
○読書<新読>
一の冨ー並木拍子郎種取帳 著:松井 今朝子(ハルキ文庫・時代小説文庫)
二枚目ー並木拍子郎種取帳 著:松井 今朝子(ハルキ文庫・時代小説文庫)
三世相ー並木拍子郎種取帳 著:松井 今朝子(ハルキ文庫・時代小説文庫)
四文屋ー並木拍子郎種取帳 著:松井 今朝子(ハルキ文庫・時代小説文庫)
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四冊まとめて感想を書きます。
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「一の冨ー並木拍子郎種取帳」
「ちと、面白いことがござりました」―人気狂言作者・並木五瓶の弟子・拍子郎は、“町のうわさ”を集め、師匠のうちに報告にくるのが日課だ。大店の不義密通事件、出合茶屋の幽霊騒動、金貸し老婆の首括り事件…拍子郎は、遭遇する事件の真相を、五瓶とその妻の小でん、料理茶屋のおあさ、拍子郎の兄で北町奉行所に勤めている惣一郎などを巻き込んで、次々と明らかにしていく―。江戸の四季と人の心の機微が織りなす、粋でいなせな捕物帳の傑作シリーズ第一弾。 (「BOOK」データベースより)
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「二枚目ー並木拍子郎種取帳」
人気狂言作者・並木五瓶の弟子拍子郎は、今日も“町のうわさ”を集め、師匠のうちにやって来た。材木問屋の崇り、芝居小屋での娘の神隠し事件、吉原の女郎あがりと大店に勤める手代の心中事件…。拍子郎は遭遇する事件の真相を、五瓶とその妻の小でん、料理茶屋のおあさ、北町奉行所に勤めている兄を巻き込んで、次々と明らかにしていく。江戸に生きる男と女の心の機微が織りなす、粋で心優しい捕物帳の傑作シリーズ第二弾。 (「BOOK」データベースより)
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「三世相ー並木拍子郎種取帳」
貧乏人にも親切だと評判で、診察にもかなりの信用があった医者・良庵が殺された。人気狂言作者並木五瓶の弟子・拍子郎と料理茶屋の娘・おあさは、半月前に占断所で偶然、良庵の女房を見かけていた。早速、拍子郎は事件に首をつっこむことに…(「三世相」より)。表題作他全五篇を収録。江戸の芝居町を舞台に、男と女の情の濃やかさと、人生の奥ゆきを余すことなく描いた傑作捕物帳シリーズ、待望の第三弾。(「BOOK」データベースより)
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「四文屋ー並木拍子郎種取帳」
トンボ返りの名人が坂東三津五郎の舞台で大失態を演じてしまう。その理由とは・・・(「蔦と幹」)。頼母子講に絡んだいやがらせ事件の裏には・・・(「頼もしい男」)。二枚目で生意気な人気役者が、茶店の娘に惚れてしまい・・・(「惚れた弱み」)。人気狂言作者並木五瓶の弟子・拍子郎は、遭遇する様々な事件の真相を次々と明らかにしていく。人間の運命を優しく鮮やかに描き切る、全五篇を収録。捕物帳の傑作シリーズ、待望の第四弾!(カバー裏より)
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1997年の作者のデビュー作「東州しゃらくさし」の主役の一人、並木五瓶をスーパーサブとして登場させたシリーズです。
写楽というスリルが去り、江戸で成功を収めた後ということもあって「東州しゃらくさし」で描かれた、江戸で勝負を打とうとするアーチストとしての五瓶のエゴイズムや孤独感は影を潜め、厳しくはあるけれどもちょっととぼけたお師匠さんとして主人公を見守るキャラになっています。
シリーズ主人公の拍子郎は武家の生まれではあるけれども、どこかのんびりした世慣れない青年。
師匠、五瓶宅の隣家は料理茶屋で、店の跡取り娘、ちゃきちゃきの江戸っ子で料理上手なおあさ。
この二人の気持ちが、最初は江戸情話風に、松井氏にしては軽いテーストで仄かに描かれていたのが、進むにつれ拍子郎の出世の秘密の比重が重くなり、重くなるにつれ拍子郎の陰影が濃くなっていき、彼の抱える影が各事件と微妙に絡み合う、といった、氏らしい展開になっていきます。
第一作「一の富」が2001年、「二枚目」が2003年、「三世相」2007年に本としてまとめられました。
そして「四文屋」が2012年。
「四文屋」でも拍子郎の行く末は見えていませんが、四作、一気に読めたのは幸せかも。「三世相」の次を待っていた方たちにとってはまさしく「待望の第四弾!」だっただろうと思います。
これだけ間を開けて続編を発表されたということは、今後も拍子郎たちの進む道だけでなく、セミレギュラーたちをさらに生き生きと描いてくれることと期待しています。
作者初の捕物帳だそうですが、全く違和感なく読めました。
優れた小説はスリルに溢れている(概略です)、という江戸川乱歩氏の言葉の通り、写楽の謎を描いた「東州しゃらくさし」は言うまでもなく、伝記ジャンルの「仲蔵狂乱」もスリルに満ち溢れていましたから。
ストーリーテラーらしいバラエティーに富んだ捕物帳となっています。
歌舞伎のバックステージエピも期待通り。
一気に読んだあと、また読み返したくなるシリーズです。
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