平清盛 #12「宿命の再会」
久安元年(1145年)
寺社の強訴を、彼らに自らの所領を渡して治める平氏。
それでも、見返りとして与えられたのは正四位。
三位以上、つまり公卿の位はどうしてももらえない。
家盛の同母弟、五男の頼盛の元服の場で、これほどまに貴族のご機嫌をとるのが武士なのか、そもそも貴族の政治のせいで都が飢饉となり、病があふれ、その病に明子が倒れたのではないか、と、鬱憤をぶちまける清盛。
ちょっと八つ当たり気味です。明子が亡くなってから以前に増して荒れいるようで。
見かねた家貞は、忠盛に清盛に後添いを持たすことを提案しますが、まだ心の芯ができていない、早すぎる、と退けられます。
忠盛が宗子を娶った時は「さだまっておられましたな」、と忠盛の言葉に納得する家貞。
忠盛の手には、舞子の形見が・・・
その会話を聞いていた宗子は、何を思ったのでしょうか。
落飾した待賢門院璋子を訪れ、勝手に出家した、と責める得子でしたが、
「あなたさまは私に教えてくださりました。人をいとしく思う気持ちの激しさを。おのれの愚かさを振り返れば、俗世に未練はございません。されど、ひとつだけ申すならば、私はついに、さような激しき思いを知らぬまま生きてまいりました。それだけが心残りでございます。」
と言われて毒気を抜かれたようです。全てを奪われたのに。
「どこまでも福々しげて憎々しげなお方じゃ」
待賢門院の病あつきことを知った鳥羽院は、取り乱しまし、彼女の好んだ、もう季節の過ぎた水仙を探すように命じます。
顧みなくなった后が今際の際となると、武士を狩り出して水仙の花を探させるなどと、馬鹿げている、と清盛。
明子は拙き政の故に殺されたようなものだというのに。
そんな清盛を、家盛が諌める・・・いや、諭します。
愛しいおなごと別れ別れになる悲しみならばわたしとて存じております、と、自分が一門のために、好きおうた女性と別れて名ある家の娘を妻としたことを明かします。それは、丁度兄上が明子を妻とした頃。
「すべては一門のためにござります。」
生涯誰にも言わないつもりだったことを、兄のために打ち明けた家盛。
自分の悲しみばかりに囚われていたことに気がついた清盛は、弟の耐えてきた気持ちを知って、あやまります。
供のものも連れずに荒れ野に水仙を探す清盛。
その前に東国から帰京した義朝が現れます。
再会した二人は互いの無事を喜びあいますが。
義朝は水仙を陸奥から取り寄せたことを告げて去ります。東国が自分の影響下にあることを形にしたのです。
献上された水仙を持って、待賢門院の元に駆けつける鳥羽院。
「やっと、人をいとしく思うきもちの、こんなにやさしく、清げなことを。ああ、わが君。璋子は今、いとしさに包まれております。」
待賢門院の今際の際の言葉に泣き崩れる院。
こうして、お姫様としての生涯をまっとうした璋子様。
そのお姫様ぶりは、得子にすら、地獄を味わせるのが望みだったのが、今は心安らかに極楽に行かれることを願って止まぬ、と思わせました。
しかし、待賢門院の死により、崇徳院はさらに孤立化するんでしょうね。
清盛は鳥羽院のことを詰っていましたが、待賢門院を思う鳥羽院の取り乱し方、明子の死を嘆くあまり周囲が見えなくなった清盛。情の激しさはそっくりです。これが、もののけの血、なのでしょか。
さて。
義朝は水仙の件で目論見通り鳥羽院にお目通りかないました。
その帰り、宮中の廊下にて清盛と出会います。
「もっとも強き武士は源氏だ。」
「お前が東国でのうのうと暮らしておったあいだ、都を守っておったは平氏ぞ。田舎武士はいつまでも東国の山奥でお花でも摘んでおればいいのじゃ。」
取っ組み合う二人。
どうやって平氏がもっとも強き武士であることをしめすのか、と、問う義朝に
「俺を見ておれ。俺はこれから平氏を背負うて立つ男ぞ。」
「貴様如きに背負れるとは、平氏とはなんと軽い一門よ。」
一歩先んじた義朝ですが、田舎武士、という罵声にはむかついたようで。
そこへ由良姫がやってきます。
一方、清盛も苛立ちながら帰宅。そこには時子がいました。
「子を二人もうけた。そなたも生むか。俺の子を生むか」@義朝
「もうそなたでよい。あとは俺がそなたに惚れればいいだけじゃ」@清盛
「そろいもそろってろくでもない求婚であった」@頼朝
由良姫、時子。どちらもツンデレ女子です。こういう女性には手順を追って申し込んだり、下手に出ていては話は進みません。強引なくらいが丁度いいのでしょう。
とはいえ、えらくあっさりと、「ろくでもない」括りの同時進行で片付けちゃったな。(苦笑)
頼朝、宗盛の誕生年を考慮すると、あまり引っ張るわけにはいかなかったのでしょうね。
久安三年四月、ナレーターを務める頼朝が生まれました。
さてさて。
通憲が出家して信西となりました。
今の世を治めるには武士の力が必要、早く彼らを三位につかせることを鳥羽院に進言するも「いずれ」とはぐらかされ、藤原頼長には、武士など取り立てるに及ばぬ、政に参加させることは国の乱れる元だ。藤原摂関家による政を再び行うことこそが、世を正す唯一の道だ、と取り合ってもらえない。
自分の進言が何一つ聞き入れてもらえないのは、生まれがため、と世に絶望したための出家だそうですが。
なんの、絶望はしていないでしょう。
これで階級社会から外れたことになり、貴族であった時よりも自由に動けるわけです。
ここからが信西の暗躍が始まる。
姉、時子の縁談を清盛にフライングで持ち込んだ時忠のエピは端折ってしまいましたが、時忠その人は時子の弟だから、というだけでなく武官ばかりの平氏の中で文官として秀でていたため、重きをなしていく人物です。どう描かれるのでしょうか。
ここまでは、清盛周辺に関しては、正式な記録がほとんど残っていないため、フィクションメインでしたが、次回は清盛自身の歴史上のエピソードが登場するようです。
平氏の棟梁らしくなっていくのは、まだもう少し後になりそう。
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