「プロヴァンス物語 マルセルの夏」「プロヴァンス物語 マルセルのお城」
夏にBSで放映された映画の感想です。
随分遅くなってしまったので、簡単にネタばれなしでまとめてメモっておきます。
「プロヴァンス物語 マルセルの夏」
1990年 仏 111分 原題「La Gloire de Mon Pere」
「プロヴァンス物語 マルセルのお城」
1990年 仏 99分 原題「Le Chateau de Ma Mere」
原作:マルセル・パニョル「少年時代の思い出―父の大手柄」「少年時代の思い出―母のお屋敷、少年時代の思い出―秘めごとの季節」
監督:イヴ・ロベール/脚色:ジェローム・トネール、ルイ・ヌスラ、イヴ・ロベール/音楽:ウラジミール・コスマ/製作:アラン・ポワレ
出演者:フィリップ・コーベール、ナタリー・ルーセル、ディディエ・パン、ジュリアン・シアマーカ
1895年、マルセルは南フランスのマルセイユに近いオーバーニュに生まれた。父のジョゼフは小学校教師、母のオーギュスティーヌはお針子をしている美しい女性であった。マルセルが3歳のとき、一家はサン・ルノーに引越すが、その頃彼は字が読めるようになり、早熟を心配した母は、6歳になるまで字を読む事を禁じてしまった。やがて彼にポールという弟ができた。1900年、妹が生まれ、マルセルの世話をしていたローズおばさんが結婚した。そしてマルセル9歳の夏、一家は田舎の別荘を借りる事にした。病弱な母に新鮮な空気を吸わせるためだ。そこはまるでおとぎの国、マルセルにとって生涯で最も美しい日々の始まりでもあったのだ。(goo映画より)
原作は読んでいません。
探してみたら、もう絶版のようでした。
DVDも新品としてはもう販売していないようです。
19世紀末から20世紀初頭まで。少年自らが語る、両親、マルセイユなどプロヴァンス地方で過ごした思い出の日々。
大人から見るとなんという出来事ではないのですが、子供にとってはひとつひとつがいかに大事件であるかが、美しい映像とともに、主人公の繊細なモノローグで描かれています。
このモノローグが最小限に抑えられていて、効果的でした。
軽やかでありながら哀切を含んだサウンドトラック、そして抑制の効いた使い方も印象に残りました。
主人公の生い立ちを描きつつ、おもに父への思いが中心となった「マルセルの夏」。
別荘のある山岳地帯の、荒々しい美しさもですが、伯母がデートするマルセイユの公園の美しさも印象的でした。
主人公がリセへ進学までの1年ほどを描いた続編の「マルセルのお城」は母への思いが中心となっています。
近道となる水路周辺の瑞々しさが匂うようで、別荘周辺の景色と対照的に描かれています。
また、冬のマルセイユも舞台になっていて、こちらも魅力的でした。
早熟だった主人公、マルセルにとっての大事件とは。
弟の誕生、伯母の恋愛と結婚、妹の誕生・・・そして別荘に行くこと。
別荘では、育った環境の全く違う親友ができたり、父と伯父の他愛のない張り合いを本気で心配したり。マルセルにとっては尊敬する父の威信がかかった大事件です!
自分が持っていないところを認め合う、親友リリとの友情も忘れられません。
「マルセルのお城」では奇妙で生々しい初恋も経験します。
生々しい、というのは、失恋のきっかけのことです。幻滅する主人公の気持ちに共感できました。
いつも暗い部屋が白日の下に露わになった時。そして嗅覚。
でも、好きだ、という気持ちが消え去らないところに、マルセルの優しい心を感じました。
別荘はマルセイユからそれほど遠くないようなのですが、まだ車の普及していない時代。片道4時間歩いて毎週末に通うって、凄いです。これがフランス人のバカンスというものへの執念なのでしょうか。
特に小さな妹を抱いて歩くお母さん。体が弱いのに。ハラハラしました。
で、他人の庭を黙って通る方法で、近道をすることになるのですが。
なんども繰り返されるこの冒険のシーンに、BGMがほとんど入っていないのが印象的でした。
思いがけず招かれたお城のティーパーティーの映像は、まるで印象派の絵画のよう。
苦学した父が、息子にかける期待を込めつつ、やがて自分を追い越していくだろう寂しさを呟くシーン、はかなく消えていく、母と弟の映像、そして親友リリの最期の姿。
一つ一つの出来事の根底に、父への尊敬、病弱な母を慈しむ心情と、別荘で過ごした幼き日々への愛惜が溢れていて、音楽のように心に沁みました。
ほっとしたい時に何度でも見返したい作品です。
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監督、イヴ・ロベールが大々昔にテレビでみた「わんぱく戦争」(1961)の監督だったとは知りませんでした。
舞台は今思うとですが、同じく南仏の小さな村。小学校低学年のチビッコたちが、きっかけは忘れましたが、ボタンの取り合いっこで大騒動を起こす、という可愛らしくもエネルギーに満ちた映画だったと記憶しています。モノクロだったような気がしますが・・・
1度しか見ていませんが、強烈な印象が残っています。
原作者のマルセル・パニョルは、レスリー・キャロンが主演した「ファニー」(1961)の原作者である、ということくらいしか知りませんでした。フランスでは小説家としてだけでなく映画及び演劇界の大立者、人間国宝的存在の人なんですねぇ。
なお映画「ファニー」はご自身の監督作品ではなくジョシュア・ローガンです。
こちらも大昔にお昼間の名画劇場で1度見たきりですが、はっきり記憶に残っています。こちらはカラーだったと思います。
「プロヴァンス物語」の日本語訳の原作本。ポチっとしてみるには、高いかなぁ・・・と迷っています。
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