私がクマにキレた理由
ステキな仕事についてエリートになる!はずだったアニーは、ひょんなことからマンハッタンの超ゴージャスなセレブの家で息子の世話をする“ナニ―”として働くことに。(amazonより)
原作:エマ・マクローリン/監督・脚本:シャリ・スプリンガー・バーマン/ロバート・プルチーニ/製作:リチャード・N・グラッドスタイン/ダニー・ウルフ
出演者:スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、ポール・ジアマッティ
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軽めの作品が観たくて借りました。ここのところあまりがっつりした作品を観る元気がないようです(汗)。以下ネタバレなしです。
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思った以上に面白かったです。
原作は「ティファニーで子育てを」。未読です。
ストーリーは原題「The Nanny Diaries(ナニーの日記)」、そのままです。それがどうしてこんな邦題になったのかは、見てのお楽しみ(^^)。ネームング担当者の自慢げな顔が見えそうな、あざとさはちょっと感じましたが(笑)、中々のタイトルです。「ナニーの日記」ではお客さんが入りませんものね。
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さてナニーとはベビーシッターのこと。
主人公の名前、アニーと引っ掛けてあります。
ナニーといえば、19世紀から20世紀初頭にかけての英国が本場なのですが、それを現代のNYのセレブに持ってきたら?というアイデアを原作があるとはいえ、うまく生かしています。
まぁ、「ナニー」が主人公なので古臭いといえば古臭いお話なのですけど、尖がりすぎないスタイリッシュな構成と映像で若い女性に受け入れられやすい作品に仕上げています。
主人公の独白で進行する、繊細なコメディを1時間半強という丁度いい長さで無駄なくまとめる。こういう手際の良さはさすがです。
「人に見てもらう、楽しんでもらう」という意識が高いんだろうなぁ。
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かつて上流階級においては、両親が育児に関わることは「下賎」なこととされ、学校(寄宿舎)へ行く年になるまでの育児一切がナニー(ナースとも言う)に任されていました。
逆に言うと、ナニーを雇うことがステータスだったようです。
親の事情や見得はともかく、子供たちにとって親代わりのナニーとの別れは、自分を甘やかしてくれる環境との別れでもあり、多かれ少なかれ心理的に影響を与えたとか。
「甘酸っぱく懐かしいナニー」という存在は英国のアッパークラス及びアッパーミドルクラス、米国ではWASPにとって特別な感慨をもたらすようです。
2つの大戦の後、上流階級が没落するのと同じくして消えてしまった、所謂召使としてのナニーは、今また職業として注目されているそうで、英国ではナニー養成学校の名門もあるそうです。
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<参照文献>
不機嫌なメアリー・ポピンズ―イギリス小説と映画から読む「階級」 著:新井潤美
召使いたちの大英帝国 著:小林章夫
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雑談はさておいて・・・
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スカーレット・ヨハンセンがちょっと内省的な、真面目に人生に向きあおうとする学校を卒業したばかりの主人公をとてものびのびと自然に演じています。
役が身の丈に合っているように思いました。
よく見ると、絶世の美女、というわけでもなく、グラマーではありますがスタイルがいいとも言いがたいのですが、表情が生き生きしていました。それがとてもチャーミング。
マダムX役のローラ・リニーの存在も大きいのですが、ヨハンセンの魅力がこの作品の魅力と言っても過言ではない、堂々たる主役っぷりでした。
「ブーリン家の姉妹」や「理想の女」よりよっぽど良かったように感じました。←美しく撮ってありますが。
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ミスターXが「幻影師アイゼンハイム」の警部だったとは・・・役者ですな~。
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メアリー・ポピンズやピーターパンへのオマージュが捧げられていて、少しにやりとさせられました(^^)。
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ほんわかしたい人にお薦めです。
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