あの日の指輪を待つきみへ
2008年公開。原題は「Closing the Ring」
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アカデミー賞に輝くスタッフ・キャストと、大ヒットTVシリーズ「OC」で大人気の若手女優ミーシャ・バートンが贈る、 半世紀・二大陸を結ぶ実話から生まれた感動の戦争巨編。 50年間、秘密を守って眠り続けた指輪が、今、目覚めるー以下略。(amazonより抜粋)
※えー、主役はシャーリー・マクレーンだと思います。集客のため、若手を押すのはわかるけど(汗)。
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重たい映画を観る気力もなく、かといってオバカ映画もアクション映画も観る気になず・・・ぼーっとレンタルショップの棚を眺めていたら目にとまった作品。
シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー出演、それから監督がリチャード・アッテンボロー、ということで、粗筋のみで借りました。
ストーリー上のネタバレは書いていません。
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IRAがアイルランド共和国軍の略であることくらいは事前に知っていた方が分かりやすいとは思いますが(簡潔な説明が公式サイトに載っています)、アイルランド独立運動そのものを描いた作品ではありません。
「アイルランドにあるベルファストという丘から50年以上も前に墜落死したアメリカ軍の航空兵の結婚指輪が見つかった」という実話をヒントに書かれた「ファンタジックなメロドラマ」です。
平凡な監督が撮れば大甘の恋愛ドラマになったかもしれません。
さすがは1923年生まれの巨匠、アッテンボロー。
異なる時間と場所が複雑に入り組んだ脚本を電話の音、ドアをノックする音などを媒体にすることによって、非常にわかりやすい作品に仕上げている、と感じました。
カードがめくられていくようにお話が展開していきます。
過去と現在が入り混じった話はこういう風に作ればいい、というお手本の1つのような作品かもしれません。
控えめな表現、丁寧な編集、奥行きのある映像、巧みな構成力。各エピソードの配分がいいです。
そしてキャスト。
主人公、エセル・アン役のシャーリー・マクレーンの「平凡さ」は素晴らしいです。
まさしく非凡なる「平凡」。このスタンスを崩さずに、ずっと第一線で活躍してこられた稀有な大女優だな、と改めて感じました。
エセル・アンの若き日を演じているのは全く知らない女優さんでしたが、配給会社がプッシュするだけあって、確かにとても綺麗な人でした。
クリストファー・プラマー演ずる、エセル・アンの旧友の若き日を演じた男優さんは、実際のプラマーの若い時より線が細くて目つきが良くて(笑)、ちょっとイメージが違うかな~、という印象でした。
そんなこと言い出したら、シャーリーと若き日のエセル・アンはどやねん、て言うことになるので、比べるのは間違っているのでしょうけれど。お二人ともキャリアの長い役者さんなので仕方がないですわ。
自分は若い時のシャーリー・マクレーン、キュートで大好きです。
そのためもあるのか、総じてアメリカサイドの若い俳優さんたちにあまり個性を感じれませんでした。
教会のシーンは良かったです。牧師見習い役の俳優さんも。
対して、アイルランドサイドの俳優さんたちはみな、渋いです。
「妖精の国」とも言われる美しい自然の中にありながら、非情なテロが横行する貧しい町に暮す人達の体温が感じられました。
公式によると「2つの時代と国の違いを映像の質感で描き分けた」と書いてありました。
もしかしたらこのキャスティングの落差はわざと狙ったのかもしれないです。
アイルランドサイドが「生きた人間」であるのに比べて、過去のアメリカサイドは美しすぎます。
キャストだけでなく、演出においてもこの落差感を時代と国の違いを描く時に、また、エセル・アンの思い出と現実を描く時に効果的に使っていると思います。
映像的には、例えば、
アイルランド、雨の降りしきる晩の電話ボックス。対するステロタイプなアメリカのカフェ・スタンド。
過去のシーン、骨組みだけの家が1件だけぽつんと建つ草原のシーンは夢の中の風景のよう。
そう、夢のような。
何から何まで計算しつくされた作品です。
さらっと観れるのですけれど。娯楽映画の深さを感じさせる作品です。
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